限界がきているこれまでの作物栽培

これからの農業経営を理解するには、今までの実態を知らなくてはいけない。今までと同じことをやっていたら、違う結果は得られないからである。今までの農業で一番大きな問題は、病害・虫害・連作障害・土壌病害に代表される障害の問題である。障害に左右されるようでは、創造的農業経営はできない。しかし、これを解決するというのは、大変に困難な仕事である。とてつもなく長い間、生産者を苦しめてきた問題だからである。

今までの農業は天候に大きく左右される。農業が天候に左右されることは常識と考えるかもしれない。でも事業として経営するなら、売り上げの見通しがまったく立たないということになる。天候に左右される振れ幅を最小限にできる技術がなくてはいけない。

次に化学物質である。世界大戦以後の農業は、化学物質による栽培を世界的に慣行的な使い方をしてきた。食糧増産には必要だったのである。しかし、弊害も看過できないほどに巨大化している。土の酸性化、砂漠化、土壌汚染である。持続可能な農業ではなくなってしまったのである。農業にとって、もっとも重要なインフラが破壊されつつある。これでは事業どころではない。仕事としてすら成立しない状況にある。今までの農業をイノベーションしなければ、農業は仕事としてすら危ういことになっている。とてつもなく大きな壁に立ち向かうことになるのである。しかし、この壁が突破できなければ、創造的農業経営は不可能である。創造的農業経営ができるようになるには、どのようなアグリイノベーションが必要となるのだろうか。

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